「500万円以上の大きな工事を請け負いたい」 「公共工事に入札して事業を拡大したい」 「元請から許可を取るように言われている」 「会社の信用を上げて、融資を有利に進めたい」
東京都内で建設業を営む多くの事業者様が、事業のステップアップのために「建設業許可」の取得を検討されています。
しかし、その手続きは非常に複雑で、 「うちは要件を満たしているのだろうか?」 「どんな書類を集めればいいのか分からない」 「何度も都庁に足を運んでいるが、書類の不備で一向に進まない」 といった悩みを抱え、許可取得を諦めかけている方も少なくありません。
東京都の建設業許可(知事許可)を取得するために必要な5つの主要な要件から、申請手続きの具体的な流れ、必要書類の完全リスト、そして多くの事業者がつまずく証明書類がない場合の対処法まで解説します。建設業許可という大きなハードルを乗り越え、事業を次のステージへ進めるための羅針盤として、ぜひご活用ください。
奥多摩町で建設業許可をとるには?
建設業許可を取得するためには、まず許可要件を満たしていることを確認し、申請に必要な書類を作成。その書類を、適切な窓口にて申請する必要があります。

建設業許可はどこに申請する?
奥多摩町のみに「営業所」を設置する場合、都道府県知事許可になりますので、東京都知事宛に申請します。申請は東京都庁(新宿区)の第二本庁舎(都市整備局 市街地建築部 建設業課)にて行います。
東京都内のみに「営業所」を複数設置する場合も、都道府県知事許可になりますので、申請先は東京都庁です。
奥多摩町内の他、東京都以外にも営業所を設置する場合は、国土交通省の地方整備局(関東地方整備局 建政部 建設産業第一課)に申請を行います。都道府県の窓口ではありませんので注意が必要です。
160-0023 東京都新宿区西新宿2丁目8−1
03-5321-1111
平日午前9時00分~午後5時00分
(許可申請は午後4時までに申請が必要です)
駐車場あり(混雑しています)
JR新宿駅西口から徒歩12分
都営地下鉄大江戸線都庁前駅降りてすぐ
まずは全体像を把握!建設業許可の基本
建設業許可の要件を詳しく見ていく前に、まずは制度の全体像を理解することが重要です。ここでは、許可の基本的な仕組みや種類について解説します。
そもそも建設業許可とは?

建設業許可とは、建設業法という法律に基づき、一定規模以上の建設工事を請け負うために必要となる行政の許可のことです。
なぜこのような許可制度があるのでしょうか?建設業は、人々の生活の基盤となるインフラや住宅を造る非常に重要な産業です。もし、技術力や経営基盤のない業者がずさんな工事を行えば、大きな事故につながりかねません。
そこで、発注者や国民の安全を守るため、一定の基準(経営力、技術力、資金力など)を満たした業者にのみ許可を与え、建設業界全体の質を担保することを目的としています。
具体的には、以下の工事を請け負う場合に許可が必要となります。
| 工事の種類 | 許可が必要となる請負金額 |
|---|---|
| 建築一式工事 | 1件の請負代金が1,500万円以上(消費税込)の工事または、請負代金の額にかかわらず、延べ面積が150㎡以上の木造住宅工事 |
| 建築一式工事以外 | 1件の請負代金が500万円以上(消費税込)の工事 |
1件の請負代金が500万円(消費税込)金額に満たない工事は「軽微な建設工事」とされ、許可がなくても請け負うことができます。
また、請負代金には材料費を含みます。もし発注者から材料の提供を受けた場合は、その材料の市場価格と運送費を請負代金に加算して考えます。
許可取得のメリット
許可を取得することで、500万円以上の工事を受注できるようになるだけでなく、以下のような大きなメリットがあります。
- 社会的信用の向上
- 許可業者は、国や都道府県が定めた厳しい基準をクリアした証であり、金融機関や取引先からの信用が格段に向上します。
- 公共工事への参加
- 公共工事の入札に参加するには、建設業許可と、その後の「経営事項審査(経審)」の受審が必須です。
- 融資・資金調達が有利に
- 金融機関からの融資審査において、建設業許可は経営の安定性を示す重要な指標となります。
- 元請からの受注機会の増加
- コンプライアンスを重視する元請企業は、下請業者にも許可取得を求めるケースが増えています。
「大臣許可」と「知事許可」の違い
建設業許可は、営業所の所在地によって2種類に分かれます。
| 許可の種類 | 営業所の設置場所 | 申請先 |
|---|---|---|
| 国土交通大臣許可 | 2つ以上の都道府県に営業所を設置する場合 | 国土交通省の地方整備局 |
| 都道府県知事許可 | 1つの都道府県のみに営業所を設置する場合 | 営業所がある都道府県 |
この記事で解説するのは、東京都内にのみ営業所を設置する場合の「東京都知事許可」です。例えば、本店が青梅市にあり、支店が八王子市にある場合は、営業所がすべて東京都内にあるため「東京都知事許可」の対象となります。
もし、東京都と埼玉県の両方に営業所を置く場合は「国土交通大臣許可」が必要になります。
建設業法でいう「営業所」とは、単なる登記上の本店や、事務連絡所、工事現場事務所のことではありません。見積り、入札、請負契約の締結といった実体的な業務を行っている事務所を指します。
「一般建設業」と「特定建設業」の違い
建設業許可は、さらに「一般建設業」と「特定建設業」の2つに区分されます。この違いは、元請として受注した工事を下請に出す際の金額によって決まります。
| 許可の区分 | 下請に出せる金額(1件の工事につき) |
|---|---|
| 一般建設業 | 合計 4,500万円未満(建築一式工事の場合は7,000万円未満) |
| 特定建設業 | 合計 4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上) |
重要なのは、これは元請業者の立場での制限であるということです。 下請業者として工事を請け負うだけであれば、請負金額がいくらであっても「一般建設業許可」で問題ありません。
特定建設業許可は、大規模工事において下請業者を保護する観点から、一般建設業許可よりも厳しい要件(特に財産要件と専任技術者の要件)が課せられています。
どの工事に必要?29の業種区分とは

建設業許可は、営む工事の種類(業種)ごとに取得する必要があります。業種は全部で29種類に分かれています。
【一式工事(2業種)】
| 略号 | 業種名 | 工事内容 |
|---|---|---|
| 土 | 土木一式工事業 | 元請の立場で、総合的な企画・指導・調整のもとに土木工作物を建設する工事(例:道路、橋、ダム、トンネル工事など) |
| 建 | 建築一式工事業 | 元請の立場で、総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事(例:住宅新築、ビル建築、増改築など) |
「建築一式工事業」の許可を持っていれば、内装工事や屋根工事など、どんな専門工事も500万円以上で請け負えると思われがちですが、それは間違いです。一式工事は、あくまで元請として複数の専門工事をマネジメントする工事を指します。500万円以上の専門工事を単独で請け負う場合は、その専門工事の許可が別途必要になります。
【専門工事(27業種)】
| 略号 | 業種名 | 工事内容 |
|---|---|---|
| 大 | 大工工事業 | 木材の加工や取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取り付ける工事。 |
| 左 | 左官工事業 | 工作物に壁土、モルタル、漆くい等をこて塗り、吹き付け、又ははり付ける工事。 |
| と | とび・土工・コンクリート工事業 | 足場の組立て、重量物の運搬配置、鉄骨等の組立て、くい打ち、土砂等の掘削、コンクリートによる工作物の築造などを行う工事。 |
| 石 | 石工事業 | 石材の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取り付ける工事。 |
| 屋 | 屋根工事業 | 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事。 |
| 電 | 電気工事業 | 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事。 |
| 管 | 管工事業 | 冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事。 |
| タ | タイル・れんが・ブロック工事業 | れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にタイル等をはり付ける工事。 |
| 鋼 | 鋼構造物工事業 | 形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事。 |
| 筋 | 鉄筋工事業 | 棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事。 |
| 舗 | 舗装工事業 | 道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事。 |
| しゅ | しゅんせつ工事業 | 河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事。 |
| 板 | 板金工事業 | 金属薄板等を加工して工作物に取り付け、又は工作物に金属製等の付属物を取り付ける工事。 |
| ガ | ガラス工事業 | 工作物にガラスを加工して取り付ける工事。 |
| 塗 | 塗装工事業 | 塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗り付け、又ははり付ける工事。 |
| 防 | 防水工事業 | アスファルト、モルタル、シーリング材等によつて防水を行う工事。 |
| 内 | 内装仕上工事業 | 木材、石膏ボード、壁紙、畳、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事。 |
| 機 | 機械器具設置工事業 | 機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取り付ける工事。 |
| 絶 | 熱絶縁工事業 | 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事。 |
| 通 | 電気通信工事業 | 有線電気通信設備、無線電気通信設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事。 |
| 園 | 造園工事業 | 整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等を築造する工事。 |
| 井 | さく井工事業 | さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事。 |
| 具 | 建具工事業 | 工作物に木製又は金属製の建具等を取り付ける工事。 |
| 水 | 水道施設工事業 | 上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道等の処理設備を設置する工事。 |
| 消 | 消防施設工事業 | 火災警報設備、消火設備、避難設備等を設置し、又は工作物に取り付ける工事。 |
| 清 | 清掃施設工事業 | し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事。 |
| 解 | 解体工事業 | 工作物の解体を行う工事。 |
自社がどの業種の許可を取得すべきか、過去の工事実績(契約書や請求書)を確認し、慎重に判断する必要があります。
許可の有効期間は5年間
建設業許可の有効期間は5年間です。許可を受けた日から5年後の許可日の前日で満了となります。
引き続き建設業を営む場合は、有効期間が満了する日の30日前までに更新の手続きを行う必要があります。東京都では、満了日の2ヶ月前から申請が可能です。
もし更新手続きを忘れてしまうと、許可は失効し、再度「新規」として許可を取り直さなければならなくなります。その間は500万円以上の工事を請け負えなくなるため、更新時期の管理は非常に重要です。
許可取得のための5大要件

ここからが本題です。建設業許可を取得するためには、大きく分けて以下の5つの要件をすべてクリアする必要があります。一つでも欠けていると許可は下りません。
- 経営業務の管理責任者(経管)がいること
- 専任技術者がいること
- 財産的基礎・金銭的信用があること
- 誠実性があること
- 欠格要件に該当しないこと
この中でも特に、多くの事業者様がつまずくのが「経営業務の管理責任者」と「営業所技術者等」の人的要件です。一つずつ、詳細に見ていきましょう。
【要件①】経営業務の管理責任者(経管)
建設業の経営は、他の産業と比べて特殊な点が多く、専門的な知識と経験が求められます。そのため、適正な経営を行う能力を持つ人物が経営陣にいることが、許可の絶対条件とされています。この役割を担うのが「経営業務の管理責任者(経管)」です。
経管とは?
経管は、法人の場合は常勤の役員、個人事業主の場合は本人または支配人のうち、以下のいずれかの経験を持つ者でなければなりません。
【パターン①】常勤役員等の一人が、以下のいずれかの経験を持つ場合
- 建設業に関し、5年以上の経営業務の管理責任者(法人の役員、個人事業主など)としての経験
- 建設業に関し、5年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位(執行役員等)で、経営業務を管理した経験
- 建設業に関し、6年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位で、経営業務の管理責任者を補佐した経験
【パターン②】常勤役員等の一人が一定の経験を持ち、それを補佐する者(財務・労務・業務)を配置する場合
多くの中小企業様が目指すのは、最もシンプルなケース、常勤役員のうち誰か一人が、建設業の経営者(法人役員や個人事業主)として5年以上の経験を持っているケースです。
経管の経験を証明する方法
経管の要件で最も重要なのは、その「経験」を客観的な書類で証明することです。口頭での説明や自己申告だけでは認められません。
許可のない業者での経営経験で証明する場合
建設業許可を持たない会社での役員経験や、一人親方としての個人事業主経験で証明するケースです。
法人役員だった場合
- 役員だった期間の証明は、法務局で取得する「履歴事項全部証明書」で、役員としての在任期間(5年以上)を確認します。
- 建設業を営んでいたことの証明は、役員だった期間中、その法人が建設業を営んでいたことを証明するために、5年分の工事実績を示す書類が必要です。具体的には、「工事請負契約書」「注文書+請書」「請求書+通帳などの入金記録」のうち、いずれかのセットを、証明したい期間分(例:5年間なら、3ヶ月に1件程度、合計約20件分)用意します。
個人事業主だった場合
- 事業主だった期間の証明は、税務署の受付印がある「確定申告書(第一表と第二表)」の控えを5年分用意します。
- 建設業を営んでいたことの証明は、法人役員の場合と同様に、5年分の工事実績を示す「工事請負契約書」「注文書+請書」「請求書+入金記録」などが必要です。
許可のある業者での経営経験で証明する場合
以前勤めていた会社など、建設業許可を持つ会社での役員経験で証明するケースです。
1.役員だった期間の証明は、「履歴事項全部証明書」で在任期間を確認します。
2.建設業を営んでいたことの証明は、その会社が許可業者であったことを示す「建設業許可通知書」の写しや、東京都の建設業課で閲覧できる情報などで証明が可能です。
証明書類がない!そんな時の具体的対処法
「5年以上の経験はあるのに、昔の書類なんて残っていない…」 これは、非常によくある相談です。しかし、諦めるのはまだ早いです。以下の方法で書類を再収集・代替できる可能性があります。
確定申告書がない場合
管轄の税務署に対して「開示請求」を行うことで、過去7年分までであれば再発行してもらえる可能性があります。ただし、手続きには時間がかかるため、早めに動き出すことが重要です。
通帳がない場合
書類が手元になくても、証明の糸口を探せる可能性があります。自力での収集が難しいと感じたら、諦める前に一度ご相談下さい。
常勤性の証明は?
経管は、その営業所に常勤している必要があります。他の会社の代表取締役を兼務していたり、常識的に通勤不可能な遠隔地に住んでいたりする場合は、常勤とは認められません。
常勤性の証明は、原則として以下の書類で行います。
健康保険被保険者証(健康保険証)の写し
事業所名が申請会社名になっていることが必須です。国民健康保険や、事業所名が記載されていない協会けんぽの保険証では、これだけでは証明になりません。また、マイナンバー保険証の場合も、別の書類が必要になります。
健康保険証で証明できない場合の代替書類
健康保険証(マイナンバー保険証)に加えて、下記書類が必要となります。
- 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)
- 市区町村から会社に送られてくる書類で、給与から住民税が天引きされていることを証明します。
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書
- 社会保険に加入した際に年金事務所から発行される書類です。
- 厚生年金保険の被保険者記録照会回答票
- 年金事務所で取得できます。
【要件②】営業所技術者等

建設工事は専門的な技術の結晶です。そのため、各営業所には、許可を受けようとする業種の工事に関する専門知識や経験を持つ営業所技術者等(旧:専任技術者)を置くことが義務付けられています。
営業所技術者等とは?
営業所技術者等は、請負契約を技術的な側面から適正に締結・履行する役割を担います。経管と同様に、その営業所に常勤している必要があります。
一人の技術者が複数の業種の要件を満たしていれば、同一営業所内で複数の業種の営業所技術者等を兼ねることができます。また、経管の要件と専任技術者の要件を両方満たす人は、同一営業所で両方を兼任することも可能です。
営業所技術者等になるための要件
営業所技術者等になるには、許可の種類(一般/特定)と業種に応じて、以下のいずれかのルートで要件を満たす必要があります。
国家資格
許可を受けたい業種に対応した国家資格を持っている。これが最もシンプルで確実な方法です。どの資格がどの業種に対応するかは、東京都の手引などで詳細に定められています。
一般建設業の場合は、1級・2級の施工管理技士、建築士、技能士など、幅広い資格が認められています。(例:内装仕上げ工事なら、2級建築施工管理技士(仕上げ)や、技能検定の内装仕上げ施工など)
特定建設業の場合は、原則として、1級の国家資格(1級施工管理技士、1級建築士など)または技術士資格が必要です。
学歴 + 実務経験
許可を受けたい業種に関連する指定学科(土木工学、建築学、機械工学など)を卒業し、その後、一定期間の実務経験を積んでいる必要があります。
| 学歴 | 必要な実務経験年数 |
|---|---|
| 大学・高等専門学校 卒業 | 3年以上 |
| 高等学校・専門学校 卒業 | 5年以上 |
証明には「卒業証明書」と、「実務経験証明書」およびその裏付け資料が必要です。
実務経験のみ
学歴や資格がない場合でも、許可を受けたい業種について10年以上の実務経験があれば、専任技術者になることができます。証明には「実務経験証明書」と、その裏付け資料が必要です。
実務経験を証明する方法
資格がない場合に専任技術者の要件をクリアするための鍵となるのが「実務経験の証明」です。経管の経験証明と同様に、客観的な書類で10年分(または学歴に応じて3年・5年分)の経験を裏付ける必要があります。具体的には、実務経験証明書(経験を積んだ期間、工事内容などを記載する書式)と、裏付け資料が必要です。
裏付け資料は、経管の場合と同様に「工事請負契約書」「注文書」「請求書+入金記録」などが該当します。
常勤性の証明について
営業所技術者等の常勤性の証明方法は、基本的に経営業務の管理責任者(経管)の場合と同じです。申請会社名が記載された健康保険証の写しや、住民税特別徴収税額通知書などで証明します。
【要件③】財産的基礎・金銭的信用
建設工事は、着工から完成・入金までに時間がかかることが多く、その間の資材購入費や人件費などを立て替えるための資金力が必要です。そのため、許可を取得するには一定の財産的基盤があることを証明しなければなりません。
一般建設業:500万円の証明
一般建設業許可を取得するには、以下のいずれか一方を満たしている必要があります。
①自己資本が500万円以上あること
法人の場合
直近の決算における「貸借対照表」の「純資産の部」の合計額が500万円以上であること。
「資本金が500万円以上」という意味ではありません。資本金が500万円あっても、赤字が続いて繰越利益剰余金がマイナスであれば、純資産合計は500万円を下回ることがあります。逆に、資本金が100万円でも、毎期利益を積み重ねて利益剰余金が400万円以上あれば、要件をクリアできます。
個人の場合
個人の場合、期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額が、自己資本となります。
500万円以上の資金調達能力があること
自己資本が500万円に満たない場合でも、金融機関が発行する「500万円以上の預金残高証明書」を提出することで、資金調達能力があると認められます。
残高証明書には「〇月〇日現在」という基準日が記載されます。この基準日から1ヶ月以内に建設業許可申請を行う必要があります。
特定建設業の場合は要件が厳しくなります
特定建設業許可の場合は、下請業者を保護する観点から、以下の4つの基準をすべて満たす必要があります。審査は直近の確定した財務諸表で行われます。
- 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
- 繰越利益剰余金がマイナス(欠損)の場合でも、その額が資本金の20%以内であること
- 流動比率が75%以上であること
- (流動資産 ÷ 流動負債) × 100 ≧ 75%
- 資本金の額が2,000万円以上であること
- 自己資本の額が4,000万円以上であること
- 貸借対照表の純資産合計が4,000万円以上であること。
期中に変更できるのは、資本金の額だけで、他の項目は直近の財務諸表にて判断します。特定建設業許可を受ける事業者様は、計画的に準備を進める必要があります。
【要件④】誠実性
請負契約に関して、詐欺、脅迫、横領といった不正な行為や、工事内容や工期に関する契約違反など、不誠実な行為を行うおそれが明らかな者は、許可を受けることができません。
法人の場合は法人自身とその役員、個人事業主の場合は本人などが対象となります。建築士法や宅地建物取引業法など、他の法律で不正・不誠実な行為を理由に免許取消処分などを受け、5年を経過していない場合もこの要件に抵触する可能性があります。
【要件⑤】欠格要件
許可申請者やその役員などが、以下の欠格要件に一つでも該当する場合は、他の要件をすべて満たしていても許可は受けられません。
- 許可申請書や添付書類に虚偽の記載がある、または重要な事実の記載が欠けている。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
- 一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る聴聞通知を受け取った後、廃業の届出をした場合に届出から5年を経過しないもの
- 聴聞通知を受け取った日から取消処分がされた日(取消処分をしないことの決定がされた日)までの間に廃業の届出をした場合、聴聞通知を受け取った日から遡って60日前までの間に当該廃業届出をした法人の役員等若しくは政令使用人であった者(個人事業主の政令使用人を含む。)で、廃業届出の日から5年を経過しないもの
- 建設業法第28条第3項又は第5項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
- 建設業法第29条の4の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 建設業法等に違反したこと又は刑法の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
- 未成年者の法定代理人が建設業法第8条各号のいずれかに該当するもの
- 法人の役員等又は政令で定める使用人のうちに、建設業法第8条第1号から第4号まで又は第6号から第10号までのいずれかに該当する者のあるもの
- 個人で政令で定める使用人のうちに、建設業法第8条第1号から第4号まで又は第6号から第10号までのいずれかに該当する者のあるもの
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
営業所の設置要件

人的要件、財産要件と並んで、意外と見落としがちなのが「営業所」の要件です。許可を受けるには、建設業を営むための適切な営業所を確保している必要があります。
建設業法上の「営業所」の定義
第1章でも触れましたが、建設業法上の「営業所」は、単に登記されている本店所在地を指すわけではありません。常時、建設工事の請負契約を締結する実体のある事務所であることが求められます。
具体的には、見積り、入札、契約締結などの営業活動を継続的に行っている拠点が「営業所」に該当します。そのため、単なる事務連絡所、資材置場、作業員詰所、工事現場の仮設事務所などは営業所とは認められません。
営業所として認められるための物理的要件
営業所として認められるには、物理的に以下の要件を備えている必要があります。
- 外部から来客を迎え入れ、請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
- 電話(注)・机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有し、他法人又は他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分されていること
- 名刺や封筒等で確認できる業務用の携帯電話も可
- 同一法人で本社と営業所が同一フロアである場合は、仕切り等は必要ないが、明らかに他の営業所と分かるよう看板等を掲示し、営業形態も別とすること
- 常勤役員等(経営業務の管理責任者)(以下、「常勤役員等(経管)」という。)又は建設業法施行令第3条の使用人(支店等において上記アに関する権限を付与された者)(以下、「令3条の使用人」という。)が常勤していること
- 営業所技術者等が常勤していること
- 営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること)
- 公的賃貸住宅(都営住宅、UR賃貸住宅等)は原則、営業所としての利用が認められない
- 看板、標識等で、外部から建設業の営業所であることが分かる表示があること
自宅兼事務所や間借りの場合の注意点
特に注意が必要なのが、自宅や他の法人とスペースを共有しているケースです。申請時には、営業所の内外の写真や間取り図の提出が求められ、これらの独立性が厳しく審査されます。
自宅兼事務所の場合
居住スペースと事務所スペースが明確に分離されている必要があります。また、事務所の出入口と住居の出入口が別であるか、または、玄関から事務所スペースに入るまでにリビングなどの居住空間を通らない構造になっていることが求められます。
同一フロアに別法人がいる場合(間借り・シェアオフィスなど)
パーテーションや間仕切り壁などで、他社のスペースと物理的に明確に区分されている必要があります。出入口が共有の場合でも、それぞれの法人の独立したスペースが確保されていなければなりません。

使用する権利(使用権原)の証明
営業所を継続的・安定的に使用する権利があることを書類で証明する必要があります。
建物が自己所有の場合
法務局で取得する「建物の登記事項証明書(登記簿謄本)」が必要です。
建物を賃借している場合
「賃貸借契約書」の写しが必要です。
契約書上の使用目的が「事務所」または「店舗」となっていることが重要です。「住居専用」となっている場合は、原則として営業所として認められません。その場合は、貸主から「事務所として使用することを承諾する」旨の使用承諾書を別途もらう必要があります。JKK(東京都住宅供給公社)、UR(都市再生機構)、都営住宅などの公共賃貸住宅は、契約上、事業目的での使用が固く禁じられているため、建設業の営業所として登録することはできません。
申請に必要な書類
建設業許可申請 必要書類一覧
ここからは、新規申請(法人)の場合に必要となる主な書類を一覧でご紹介します。個人の場合や会社の状況によって必要書類は異なりますので、必ず東京都の手引で最終確認をしてください。
【申請書様式】
| 様式番号 | 書類名 | 備考 |
|---|---|---|
| 第1号 | 建設業許可申請書 | メインとなる申請書 |
| 別紙1 | 役員の一覧表 | 役員全員分を記載 |
| 別紙2(1) | 営業所一覧表 | 営業所が1ヶ所でも必要 |
| 第2号 | 工事経歴書 | 申請業種について直近1期分 |
| 第3号 | 直前3年の各事業年度における工事施工金額 | |
| 第4号 | 使用人数 | |
| 第6号 | 誓約書 | 欠格要件に該当しないことの誓約 |
| 第7号 | 経営業務の管理責任者証明書 | |
| 第7号の3 | 健康保険等の加入状況 | |
| 第8号 | 専任技術者証明書 | |
| 第9号 | 実務経験証明書 | 専技を実務経験で証明する場合 |
| 第12号 | 許可申請者の調書 | 役員全員分(監査役除く) |
| 第14号 | 株主(出資者)調書 | |
| 第15号~17号の2 | 財務諸表 | 直近1期分 |
| 第20号 | 営業の沿革 | |
| 第20号の2 | 所属建設業者団体 | |
| 第20号の3 | 主要取引金融機関名 |
【添付・確認書類】
| 書類名 | 取得場所・備考 |
|---|---|
| 履歴事項全部証明書 | 法務局(発行後3ヶ月以内) |
| 定款の写し | 会社保管(現行定款であることの証明が必要) |
| 法人事業税の納税証明書 | 都税事務所 |
| 登記されていないことの証明書 | 法務局(役員全員分) |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村役場(役員全員分) |
| 営業所の写真 | 外部(ビル全景、看板)、内部(執務・応接スペース)など |
| 営業所の賃貸借契約書 or 登記事項証明書 | 使用権原の証明 |
| 経管・専技の常勤性を証明する資料 | 健康保険証の写し、住民税通知書など |
| 経管の経験を証明する資料 | 履歴事項全部証明書、工事契約書(5年分)など |
| 専技の資格・経験を証明する資料 | 資格者証の写し、卒業証明書、実務経験証明書など |
| 社会保険の加入を証明する資料 | 年金事務所の領収書、労働保険料申告書など |
| 財産要件を証明する資料 | 直近の財務諸表、または500万円以上の預金残高証明書 |
これだけの書類を不備なく揃えるのは、大変な労力と時間を要します。
4-4. 申請手数料について
東京都に支払う法定手数料は以下の通りです。(行政書士への報酬とは別です)
| 申請の種類 | 手数料 |
|---|---|
| 新規申請(知事・一般/特定) | 90,000円 |
| 更新申請(知事・一般/特定) | 50,000円 |
| 業種追加申請 | 50,000円 |
許可取得後は?
無事に許可が取れても、それで終わりではありません。許可を維持するためには、定められた手続きを行う義務があります。
許可票の掲示

許可業者は、営業所と、工事現場ごとに、公衆の見やすい場所に許可票(金看板など)を掲示しなければなりません。
毎年の決算変更届
許可業者は、事業年度が終了してから4ヶ月以内に、その期の工事経歴や財務状況を「決算変更届(事業年度終了報告書)」として都庁に提出する義務があります。
この届出を怠ると、5年後の更新申請ができなくなります。5期分の決算変更届をまとめて提出しようとすると、膨大な作業量となり、更新期限に間に合わなくなるリスクが非常に高くなります。必ず毎年、期限内に提出するようにしましょう。

その他の変更届
以下の事項に変更があった場合は、その都度、変更届を提出する必要があります。
| 変更事項 | 届出期限 |
|---|---|
| 商号、営業所の名称・所在地、資本金、役員等 | 変更後30日以内 |
| 経営業務の管理責任者、営業所技術者等 | 変更後2週間以内 |
特に、経管や営業所技術者等が退職してしまった場合、後任者を2週間以内に補充(交代)して変更届を出さない場合、許可が取り消されることになりますので注意が必要です。
5年ごとの更新申請
第1章で述べたとおり、有効期間満了の30日前までに更新申請が必要です。更新申請を行うためには、5期分の決算変更届がすべて提出済みであることが大前提となります。
困ったら当事務所にご相談下さい

ここまで、東京都の建設業許可について、要件から手続き、必要書類まで詳細に解説してきました。ご覧いただいた通り、建設業許可の申請は、数ある許認可の中でもトップクラスに複雑で難易度が高い手続きです。
自力で申請に挑戦することも可能ですが、
- 膨大な書類の収集と作成に本業の時間が奪われてしまう
- 要件を満たしているかの判断を誤り、不許可になってしまう
- 何度も都庁に足を運び、そのたびに不備を指摘され、心が折れてしまう といったケースは後を絶ちません。
もし、少しでも「自分だけでは難しいかもしれない」「要件を満たしているか不安だ」「とにかく早く確実に許可が欲しい」と感じたら、建設業許可を専門とする行政書士に相談することをお勧めします。
ご自身で手続きするよりも時間と労力を大幅に節約でき、より早く、より確実に許可を取得することが可能になります。建設業許可は、ゴールではなく、貴社の事業がさらに飛躍するためのスタートラインです。この記事が、その第一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。
建設業許可の必要書類



納税証明書の取得場所は?
法人で建設業許可を取得する場合は「法人事業税の納税証明書」が、個人で建設業許可を取得する場合は「個人事業税の納税証明書」の取得が必要となります。どちらも都税事務所の窓口にて取得することが可能です。どの都税事務所でも取得が可能ですが、「青梅都税支所」が最寄りの都税事務所となります。
198-0036 青梅市河辺町6-4-1
0428-22-1152
平日08時30分〜17時00分
駐車可能台数 50台
JR青梅線 河辺駅南口から徒歩12分
履歴事項全部証明書の取得場所は?
法人で建設業許可を取得する場合は「履歴事項全部証明書(登記事項証明書)」の取得が必要となります。全国の法務局にて取得することが可能ですが、「東京法務局 西多摩支局」が最寄りの法務局となります。
197-0004 福生市南田園3丁目61番地3
042-551-0360
平日09時00分〜17時00分
駐車場あり
JR青梅線 牛浜駅から徒歩15分
登記されていないことの証明書の取得場所は?
建設業許可を取得する場合は、法人の役員等(顧問、相談役、株主等を除く)、個人事業主、支配人及び令3条の使用人について「登記されていないことの証明書(成年被後見人・被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書)」の取得が必要となります。法務局の本局のみにて取得することが可能ですので、東京都の場合は「東京法務局」が最寄りの法務局となります。郵送でも取得することが出来ます。
102-0074 東京都千代田区九段南1丁目1−15
03-5213-1234
平日09時00分〜17時00分
駐車場あり(満車の可能性あり)
地下鉄 九段下駅から徒歩5分
身分証明書の取得場所は?
建設業許可を取得する場合は、、法人の役員等(顧問、相談役、株主等を除く)、個人事業主、支配人及び令3条の使用人について「身分証明書」の取得が必要となります。
身分証明書とは、運転免許証やマイナンバーカードのことではなく、本籍地の市町村役場で発行される「身分証明書」のことで、破産者で復権を得ないものに該当しない旨を証明する書類です。
住所地ではなく本籍地の市町村役場で発行される書類ですので、注意が必要です。郵送でも取得することができます。
厚生年金保険の被保険者記録照会回答票の取得場所は?
過去の常勤性を証明する資料「厚生年金保険の被保険者記録照会回答票」は、全国の年金事務所で取得することが可能です。奥多摩町からの最寄りの年金事務所は、「青梅年金事務所」です。
奥多摩町の地域名情報

青梅警察署の管轄地域(奥多摩町内全域)
海澤/梅澤/大丹波/川井/川野/河内/小丹波/境/白丸/棚澤/丹三郎/留浦/日原/原/氷川
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■行政書士 遠藤 諒
■所属機関:東京都行政書士会
■登録番号:21081639
■事務所名:多摩川行政書士事務所
■所在地所:東京都青梅市勝沼3-182-1
■インボイス(適格請求書発行事業者)番号:T2810163436087

