営業所技術者等が退職した、人数を増やした、氏名が変わった等、何かしらの変更があった場合、許認可を受けた行政庁(役所)に、変更届の申請が必要となります。
今回は、どんなときに変更届の提出が必要か、具体的な提出方法について見ていきたいと思います。
営業所技術者等とは…?
営業所技術者等は、建設業許可を受ける際に、必ず配置が必要な技術者です。建設業許可を受けている会社であれば、必ず一人以上の営業所技術者等がいます。
営業所技術者等は、適正な請負契約が締結されるよう、技術的観点から見積書の作成や契約内容の確認を行うほか、請負契約の適正な履行が確保されるよう、現場の監理技術者等のバックアップ・サポートを行います。
とても大切な役割の営業所技術者等ですが、専任技術者が退職等で不在になってしまったら、建設業許可は取り消されてしまうことも。不在の期間が生まれないように、しっかりマネジメントを行いましょう。
どんな時に営業所技術者等を変更するの?
退職
営業所技術者等が退職する場合、退職前に速やかに新しい技術者を選定し、変更手続きを行う必要があります。退職理由は自己都合や定年退職などさまざまですが、いずれの場合でも適切な後任を確保することが重要です。
事業拡大
例えば、1人いた営業所技術者等を2人にする等、新たな営業所技術者等を配置する場合も、変更届出が必要です。複数の営業所を有している会社では、人事異動によっても手続きが必要になる可能性も考えられます。
病気や事故
営業所技術者等が病気や事故により長期間の療養が必要となる場合、一時的または恒久的に代替の技術者を配置しなければなりません。この場合、健康状態が回復次第、再度変更手続きを行うこともあります。
営業所技術者等の変更手続き
変更手続きは、変更が生じた日から14日以内に変更届を提出しない場合、罰則の対象となることがあります。手続きを怠ると、最悪の場合、許可更新が出来なくなったり、許可の更新が取り消される可能性もありますので、必ず提出するようにしましょう。
営業所技術者等は、誰もがなれるわけではありません。許可業種に関係する国家資格を保有している、10年以上の実務経験がある等、専任技術者になれる条件を満たしていることを確認しましょう。
提出する書類に不備があると受理されません。書類は正確に記入し、漏れがないように準備することが重要です。また、書類のコピーも準備しておくと、後の手続きがスムーズになります。
東京都知事許可の場合は、東京都都市整備局(都庁第二本庁舎)に変更届を提出します。
営業所技術者等の資格要件とは?
新たに営業所技術者等となる方は、国家資格等を保有しているか、あるいは実務経験が必要となります。
国家資格等を保有している場合
営業所技術者等の資格要件として、建設業法で定められた国家資格を保有することが求められます。例えば、一級建築士や一級施工管理技士などの資格がこれに該当します 。
| 資格区分(一例) | 建設業の種類 | 
|---|---|
| 一級建築士 | 建・大・屋・タ・鋼・内 | 
| 一級建設機械施工管理技士 | 土・と・舗 | 
| 一級建築施工管理技士 | 建・大・左・と・石・屋・タ・鋼・筋・板・ガ・塗・防・内・絶・具・解 | 
| 第一種電気工事士 | 電 | 
| 一級土木施工管理技士 | 土・と・石・鋼・筋・しゅ・塗・水 | 
例えば一級建築士が新しい専任技術者であれば、建築一式工事、大工工事、屋根工事、タイル・レンガ・ブロック工事、鋼構造工事、内装仕上工事については実務経験不要で専任技術者になることができます。
実務経験で証明する場合
国家資格等を保有していない場合、建設業に関する実務経験を有することが必要です。具体的には、以下のような基準があります 。
- 高校卒業後、指定学科を修了し、5年以上の実務経験
- 高等専門学校(5年制)または大学(短期大学含む)卒業後、3年以上の実務経験
- 上記以外の学歴の場合、10年以上の実務経験
| 高等学校 | 全日制、定時制 | 指定学科卒業+実務経験5年 | 
| 中等教育学校 | 平成10年に学校教育法の改正により創設された 中高一貫教育の学校 | |
| 大学、短期大学 | 学部、専攻科、別科 | 指定学科卒業+実務経験3年 | 
| 高等専門学校 | 学科、専攻科 | |
| 専修学校 | 専門課程、学科 | 指定学科卒業+実務経験5年 (専門士・高度専門士は3年) | 
学校教育法に基づく各種学校の指定学科を卒業していれば、実務経験は10年よりも短い年数で認められます。ただし、大学院や職業訓練校など、学校教育法以外の法律に基づく各種学校等は対象とはならないので注意が必要です。
必要な書類は以下の通りです
営業所技術者等の追加・変更・削除で必要となる書類は以下の通りです。
- 変更届出書(第一面)
- 専任技術者一覧表
- 別とじ表紙
- 専任技術者証明書
- 技術者の要件を証する書類
- 届出書(後任者がいない場合の削除時のみ)
- 前任者及び新任者の確認資料
- 新任者の技術要件の確認資料
また、これとは別に、一部廃業する業種がある場合は、廃業届も併せて用意する必要があります。
1. 変更届出書(第一面)(様式第二十二号の二)
変更届出書の第一面には、以下の内容を記載します。
- 申請者の情報
- 変更内容の概要
- 変更後の専任技術者の情報
2. 営業所技術者等証明書(様式第八号)
営業所技術者等の交替を証明するための書類で、以下の内容を記載します。
- 新しい専任技術者の氏名、住所、生年月日
- 担当する建設工事の種類と有資格区分
- 変更日
3. 技術者要件を証する書類
新任の営業所技術者等の資格を証明するための書類として、以下のいずれかを添付します
- ア 修業(卒業)証明書及び実務経験証明書
- イ 資格認定証明書の写し及び実務経験を要する資格である場合は実務経験証明書も必要
- ウ 実務経験証明書
- エ 指導監督的実務経験証明書(指定建設業以外の特定建設業の場合)
- オ 監理技術者資格者証の写し
4. 確認資料
前任者および新任者の営業所技術者等の確認資料として、以下の書類を提出します。
- 健康保険証の写しまたは資格喪失届の写し
- 住民票または登記事項証明書
5. 届出書(様式第二十二号の三)
後任者がいない場合には、一部廃業の届出が必要です。この場合、届出書には以下の内容を記載します。
- 廃業する建設業種
- 届出時に許可を受けている建設業
- 廃業の年月日
- 廃業等の理由
まとめ
専任技術者が国家資格か実務経験か、業種を廃業するかしないか等で、提出する書類が多少変わることがご理解いただけたかと思います。
書類の不備があると受付できないため、内容をよく確認してから提出するようにしましょう。提出先は東京都都市整備局市街地建築部建設業課(都庁第二庁舎)で、受付時間は午前9時から午後5時までとなります。

