こんにちは。多摩川行政書士事務所の遠藤です。
建設業許可の申請や更新の準備をしていると、「役員の書類って、なんでこんなにたくさん必要なんだ…」と感じることはありませんか?特に、役員の方一人ひとりについて「身分証明書」や「登記されていないことの証明書」などを集めるのは、なかなかの手間ですよね。
そんな中、お客様からよくこんなご質問をいただきます。

「うちの会社には監査役がいるんだけど、監査役の分の書類も全部必要なの?」
会社法上、監査役は立派な「役員」です。そう考えると、当然必要だと思いますよね。ですが、ここが建設業許可の面白いところ。結論から言うと、建設業許可の申請において、監査役は原則として「役員」には含まれず、書類の提出も不要なんです。
「え、そうなの!?」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。今回は、この建設業許可独特のルールについて、分かりやすく解説していきたいと思います。
なぜ?会社法と建設業法で「役員」の定義が違うワケ
この話のキモは、一般的な「会社法」で定められている役員の範囲と、「建設業法」で審査の対象となる「役員等」の範囲が異なるという点にあります。
会社法では、取締役、会計参与、そして監査役が「役員」と定められています。
しかし、建設業許可制度がチェックしたいのは、「その会社の建設業の経営について、業務を執行する権限と責任を持っているのは誰か?」という点です。建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するという法律の目的から、経営の執行に直接関わる人物の適格性を厳しく審査する必要があるんですね。
取締役:会社の業務を「執行する」のが役割
監査役:取締役の業務執行を「監査する」のが役割
このように、監査役の役割は経営の執行から一歩引いた、監督・監査する立場にあります。そのため、建設業法では、業務執行に直接関与しない監査役を、原則として審査対象の「役員等」から除外しているのです。
このことは、国土交通省が定めている全国共通のルールブック「建設業許可事務ガイドライン」にもはっきりと書かれています。
(役員等の一覧表には)「…執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等…は役員には含まれないが…」
出典:建設業許可事務ガイドライン
もちろん、これは東京都の許可審査でも同じ扱いとなっています。
具体的に何が不要になるの?取締役と監査役の準備書類を比較
では、「監査役は役員等に含まれない」ことで、具体的にどんな書類が不要になるのでしょうか。通常の役員である「取締役」と比べてみると、その差は一目瞭然です。
| 提出書類 | 取締役 | 監査役 |
| 役員等の一覧表への記載 | 必要 | 不要 |
| 調書(様式第十二号)の作成 | 必要 | 不要 |
| 身分証明書の添付 | 必要 | 不要 |
| 登記されていないことの証明書の添付 | 必要 | 不要 |
いかがでしょうか。
取締役の場合は、申請書への記載はもちろん、本籍地や法務局から証明書を取り寄せる必要がありますが、監査役については、これらの手続きが一切不要になります。
これは申請を準備する会社様にとっても、監査役ご本人にとっても、負担が大きく減るポイントですよね。
【要注意!】「監査役」でも役員扱いになる例外ケース
「じゃあ、監査役がいれば何も気にしなくていいんだ!」と思ってしまうと、少し危険です。建設業法は、形式的な役職名だけでなく、「実質的に会社経営を支配しているか」という点も考慮されています。
そのため、たとえ登記上「監査役」という肩書でも、以下のようなケースに該当する場合は、例外的に「役員等」とみなされ、各種書類の提出が求められることがあります。
- 総株主の議決権の5%以上を保有する個人株主である
- 顧問や相談役を兼務している
- その他、役職名にかかわらず、取締役と同等以上の支配力を持っていると認められる者
もし、「うちの監査役は株も持っているし、経営にも深く関わっているんだけど…」といった場合は、自己判断で除外せず、一度専門家にご相談いただくことをお勧めします。
まとめ
今回は、建設業許可における監査役の取り扱いについて解説しました。
- 建設業許可では、監査役は原則として「役員等」に該当しない。
- そのため、「役員等の一覧表」への記載や、「身分証明書」などの添付は不要。
- ただし、大株主であったり、実質的に経営を支配していたりする場合は例外となる可能性も。
このルールを知っているだけで、書類準備の手間を大きく省くことができます。建設業許可には、こうした専門的で少し分かりにくいルールがいくつか存在します。
多摩川行政書士事務所では、建設業許可の新規取得から更新、業種追加、決算変更届まで、建設業者様を幅広くサポートしております。
「このケースはどうなんだろう?」「書類準備が大変で…」など、お困りのことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください!

